2009年12月30日

東京都写真美術館「木村伊兵衛とアンリ・カルティエ=ブレッソン」

青山のワタリウム美術館で開催されている

「ルイス・バラガン邸をたずねる」では

バラガンの書斎が再現されていた。

さまざまな本に交じってあったのが「木村伊兵衛」の写真集。

 

木村伊兵衛の写真展は1年に一度、あるいは2年に一度は

都内のどこかで開催されていて、

今回はいいかなと思っても、最終的にはいつも足を伸ばしてしまう。

 

今回もバラガン展で本の帯を見て、

あぁ、やっぱり、恵比寿に行かなくちゃ、と思って

恵比寿の東京都写真美術館に行ってきた。

 

まず冒頭に展示されていた、

木村伊兵衛によるアンリ・カルティエ=ブレッソン、

アンリ・カルティエ=ブレッソンによる木村伊兵衛、

お互いを撮影しあった写真がほほえましかった。

この2枚を見ただけで、あぁやっぱり来てよかった、と思う。

 

木村伊兵衛による横山大観、上村松園、鏑木清方、谷崎潤一郎、

久保田万太郎、永井荷風など、芸術家たちのポートレイトがとてもよかった。

土門拳が撮影した芸術家たちの写真も好きだけれど

木村伊兵衛の写真は、少しふんわりとして、

それでいてシャープで、かつ透き通っているような感じがする。


上村松園の写真は、明治女の凛とした姿のものが多いけれど

彼が撮影すると、ただの絵を描くのが好きな女の子のような雰囲気になる。

サントリー美術館の鏑木清方展に清方の写真が少しあったけれど、

木村伊兵衛が「肖像写真」として撮影するとこんなにも違うのか、とちょっと驚く。

谷崎潤一郎の写真もよかったなぁ。

印刷物で見ていたのとは雰囲気が全然違う。

年こそ取っているけれど、イケメンじゃん!と

改めて認識した(遅い・・・ですね)。

レンズを通して真っ直ぐにこちらを見つめる谷崎の表情は

知的で、繊細で、男の色気があって、

彼の作品や生き方を思い出し、

ふーむ、なるほど、と・・・。

1枚の写真は雄弁だなぁと改めて実感した。

 

ところで有名な「おばこ、大曲」、

何度も見ていてつい通り過ぎてしまうところだったのだが

(女性の瞳が黒ではなく、薄いグレーなのがいいんですよね)

おばこ.Jpeg

今回、きものに注目して見たら・・・なんと道行きを着ていた。

あぁ〜知らなかった。今まで、ずーーーーーっと、

「農作業」のひとときを写したものかと思っていたのだけれど

「おでかけ」のワンショットだった・・・のかも・・・。

撮影時の1957年の大曲では、笠を被り、外出していたんだろうか。

ずっと長いこと思い込んでいたので自分でも信じがたいけれど

きちんと出している白い半襟もおでかけっぽい・・・。

ふー。びっくり。この写真のベタ焼き、見てみたいなぁ。

 

 

アンリ・カルティエ=ブレッソンの展示も

最後の方に肖像写真がちらっと並ぶ。

ジャン・ポール・サルトル、アルベルト・ジャコメッティ、

アンリ・マティス、ジョルジュ・ルオー、ピエール・ボナール、

ジョリオ・キュリー夫妻、ジャン・ジュネ、

ココ・シャネル、アンドレ・マルロー、

トルーマン・カポーティ、アルフレッド・スティーグリッツなど。

何度見ても、ついじっくり見てしまう。

木村伊兵衛を被写体にした写真もそうだけれど

人物だけの「大首絵」ではなく、背景に様々な“情報”を入れて

小物を利かせるのが絶妙に巧い。

料理の写真を、アップでリアルに見せるのではなく、

ちらっと緑の葉や、洒落たフォークや、テーブルナプキンなどを添え

料理が存在している空気を大切にしたような、そんな雰囲気・・・。

 

会場は若い人たちで混み合っていて

なんだかちょっとうれしかった。


●東京都写真美術館「木村伊兵衛とアンリ・カルティエ=ブレッソン」

 2月7日まで

posted by tea at 15:44| 写真 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月24日

エデュアール・ブーバ

クリスマスの日に、大好きな写真家をご紹介します。

 

snow.JPG

Edouard Boubat

Florence under the Snow, Paris, 1950

 

エデュアール・ブーバは

フランスを代表する写真家ですが

日本ではあまり知名度がなく残念です。

いつか日本で彼の大回顧展を見てみたいと願っています。

 

ジャック=アンリ・ラルティーグや

ロベール・ドアノーなどのように

楽しく明るく美しいシーンに心動かされ

シャッターを押し続けた写真家。

 

彼の写真は

美しく、かわいらしく、ほほえましい。

 

けれど、しばし眺めているうちに、

生きていくうえで

ささやかな楽しいことを見つけつつ

あらゆることを両手を広げて受け入れようと思ったり

あるいは、すべてを抱きしめようと思ったり

さらには、なぜだか、ふと、敬虔な気持ちになったりする。

実際、「敬虔」という言葉の意味さえわからない私なのだが・・・。


こちらは写真集。

ブーバ.jpg

Edouard Boubat It’s a Wonderfull Life




Merry  Christmas!


posted by tea at 16:23| 写真 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月23日

細川護貞「怡園随筆 茶・花・史」

前回に関連して「いけばな」で思い出した1冊の本が

古本屋で手にした細川護貞の「怡園随筆 茶・花・史」。

第1章は「茶と花」として、

氏が高松宮妃殿下から日本いけばな芸術協会の会長に要請され

止むなく引き受けるという昭和43年の随筆から始まる。

流派を超えて「いけばな」をインターナショナルなものにしていこうという

静かな意気込みを綴っている。

同章では後水尾天皇にもふれており、

先の東京都美術館での「冷泉家王朝の和歌守展」では

芸術・学問の分野に優れていた後水尾天皇の書が登場していたけれど

江戸東京博物館の「いけばな展」では

後水尾天皇の“姿”を描いた作品が展示されていて

こんなお姿の人物だったのかと、見入ってしまった。

 

この「怡園随筆 茶・花・史」、

義理の父親である近衛文麿についての胸つまる詳細や

子どもたち(息子・細川護煕さん)や

永青文庫についての記述なども、とても興味深い。

娘の明子さんが表千家家元に嫁ぐ直前のうれしさや淋しさなども

父親としての情愛にあふれている。

 

実際に財団法人永青文庫を設立したのは美術品収集家であった彼の父、

細川護立氏だけれども、一般公開に踏み切ったのは護貞氏。

近衛文麿の自殺を含め、敗戦で深く傷ついた護貞氏が

心のよりどころを探し求めて永青文庫へ行き着くあたりも

ちょっと納得できたりする。

 

以下、「永青文庫のこと」というページを少し抜粋します。

 

そして私の生きる道、それは子どもたちであった。私を押しつぶそうとした断層の端に立って未来をながめたとき、そこにひろがる希望の広野に旅立つものは、彼ら幼きものどもをおいて他にはないと思った。

(中略)

子どもこそは私の希望であった。しかし私は出すぎて子どもをかばってはならぬこと、彼らが求めれば、水や空気のようにいつでもその望みに答えられるようにすること、あるが如く無きが如く彼らを見守ることが私の使命である、と自分にいい聞かせた。そしてもっぱら読書と趣味に没入していった。

(中略)

私は近衛文麿公が政治以上に熱心であった陽明文庫の運営に学んで、余生を永青文庫の育成に努力したいと思っている。

 

IMG_5890.JPG

細川護貞「怡園随筆 茶・花・史」

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2009年12月22日

狩野常信の「鹿」

太田記念美術館で10月に開催された、

「江戸園芸花尽くし」がとてもおもしろかったので、

花鳥風月に疎い私が調子に乗り、

江戸東京博物館の特別展「いけばな」を見に行った。

 

お花を習っていらっしゃる方にとっては

きっと感涙ものだろうなと思いながら、興味深く拝見した。

奈良国立博物館からの花瓶や、

京都・陽明文庫や京都府立総合資料館、

東京・宮内庁書陵部や東京大学附属図書館などからの資料が

ずらりと並んでいる。

奈良・唐招提寺の「鋳銅三具足」などもある。

そしてチラッと、鈴木春信や喜多川歌麿の作品も混じったりする。

 

京都・仁和寺から来た狩野常信の「観音・山水図」、

たぶん以前見たことがあるはずなのに、当時の印象がなく

本当に私ってやつは・・・などと思いながら

改めてじっくりと鑑賞した。

 

会場後半に「近世花くらべ」として、

さまざまな流派のお家元が作品を展示されていた。

遠州、松月堂古流、未生流、池坊、宏道流、

華道相阿彌流、古流松應会・・・と、

中には存じ上げない流派もあったものの、壮観だった。

どの流派に入門しようかなと、思わず真剣に眺めてしまった。

 

現在、江戸東京博物館では、3つの企画展が同時開催されている。

・「いけばな〜歴史を彩る日本の美〜」2010117日まで

・「旗本がみた忠臣蔵」201027日まで

・「将軍綱吉と元禄の世」201027日まで

 

以上の3展を同時に見て、実は一番、心に残っているのは

「将軍綱吉と元禄の世」にひっそりと展示されていた

狩野常信の「桜鶴・福禄寿・紅葉鹿図」。

あぁ・・・鹿が・・・美しかった。

何日も忘れられない・・・。

この絵を見ただけで、鹿が古来から“神の使い”として

大切に保護され続けてきたことがよくわかる。

気高く気品がある、麗しい立ち姿がいつまでも脳裏に残る。

神という実態がよくわからない私でさえも、

鹿は「動物」としてそこにいるのに、

それは存在感のない「貴い何か」、のように見えた。

 

将軍綱吉の威厳に満ちた作品の数々が展示される中、

隅の方に地味に展示されていたけれど、とてもよかった。

意味もなく、いつかこんな表情をしてみたいと思ったりした。



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2009年12月20日

和の気軽なプレゼント

今日は友人たちへのクリスマスプレゼント探しの1日となった。

困ったときは、美術館のショップもけっこう頼りになる。

 

今年、家族や和の小物好きの女子に贈ってよろこばれたもの。

(商品の在庫や詳細は、各店舗にお問い合わせください)

 

 

●扇子

 IMG_5863.JPG

扇面貼付屏風(部分) 中村芳中

中村芳中のグッズって、なかなかない。

しかも桜色の扇子入れがかわいらしい。

この夏、プレゼントしまくった。

確か2,000円くらい。(出光美術館)

 

 

●手ぬぐい

 IMG_5870.JPG IMG_5883.JPG

1,000円以下で気軽に贈れるプレゼント。

右のものは竺仙の干支手ぬぐい・宝船。来年の干支、虎が描かれている。

(左は東京国立博物館、右は出光美術館)

 

 

●小銭入れ・小物入れ

IMG_5868.JPG 

意外に小銭入れや小物入れも手軽な値段で見つかる。

こちらは織りのもの。ジャワ更紗やインド更紗、バティックなど染めのものも

2,000円〜5,000円くらいで購入できる。

その他、数寄屋袋、懐紙入れなども着物好き女子によろこばれる。

上品なものごしの銀座むらたの店主、村田あき子さんは、

陶芸家・板谷波山のお孫さん。

(銀座むら田)

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